結論
- 子供のいるいないで遺族年金は大きく異なる
- 妻が亡くなっても夫が貰えない場合がある
- 子供の独り立ちまでの生活費と教育費が足りない場合は掛け捨ての生命保険も検討の余地あり
いざという時のお金について
現在、幸か不幸か自分はまだ独り身です。
そのため自分が死亡することで生活が困る人はいません。
しかし、結婚して子供を授かりたいと考えているので、新しく家族ができた時には自分に何かあった時の備えを考えなくてはなりません。
ここで問題になるのは
- いつまでに
- どのような方法で
- どれぐらい
用意しておけばいいのかということです。
いざという時のために少し考えてみたいと思います。
意外と公的保障は手厚い
まずは国からもらえる公的保障についてみていきたいと思います。
これを踏まえた上で必要であれば民間の保険を検討するのが大事です。
ちなみに公的年金制度として受給できるのは原則1人1つです。
死亡時
この時もらえるものは遺族年金です。
遺族年金には以下の2種類があります。
- 遺族基礎年金:家族構成で決まる
- 遺族厚生年金:働いていた年数と収入で決まる
どちらがもらえるかは亡くなった人が加入している年金の種類によって決まります。
加入している年金 | 厚生年金(会社員など) | 国民年金(自営業者) |
貰える遺族年金 | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 | 遺族基礎年金 |
ただし貰うためには条件をクリアしなければいけません。
遺族基礎年金
死亡した人の要件
- 国民年金に加入中
- 国民年金に加入していた60歳以上65歳未満の人で日本国内に住所がある
- 2017年7月までに老齢基礎年金を受けられるようになった
- 老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある
上記1、2の要件に当てはまる人は、下記の要件を満たす必要がある
原則:国民年金の加入期間のうち保険料納付済期間が3分の2以上ある
特例:死亡日が2026年3月31日までで死亡時の年齢が65歳未満の人は死亡の前々月までの1年間で保険料の滞納がなければよい
もらう人の要件
- 死亡した人によって生計を維持されていた子のいる配偶者
- 死亡した人によって生計を維持されていた子
- 貰う人の年収が850万円未満であるか年間所得金額が655万5000円未満
※「子」とは18歳になって最初に迎える3月末まで、あるいは障害等級が1級・2級の場合は20歳になるまで
もらえる金額
年間780,100円に子の人数に応じた加算した金額
加算は
1人目と2人目:224,500円/人
3人目以降:74,800円/人
注意
・保険料の滞納があると支給されない場合がある
・子がいないと対象外
遺族厚生年金
死亡した人の要件
短期要件
- 厚生年金に加入中であった
- 厚生年金に加入中に初診を受けた傷病で初診日から5年以内に死亡した
- 障害者等級1級または2級の障害厚生年金を受けられる人であった
長期要件
- 2017年7月までに老齢厚生年金を受けられるようになった
- 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある
上記1、2の要件に当てはまる人は、下記の要件を満たす必要がある
原則:国民年金の加入期間のうち保険料納付済期間が3分の2以上ある
特例:死亡日が2026年3月31日までで死亡時の年齢が65歳未満の人は死亡の前々月までの1年間で保険料の滞納がなければよい
もらう人の要件
順位 | 続柄 | 要件 |
1 | 妻 | 子のいない30歳未満の妻は5年間のみ支給 |
夫 | 遺族基礎年金をもらっている場合であって、 生計維持者の死亡当時に55歳以上である(支給は60歳から) | |
子 | 18歳になってから初めて迎える3月末まで 障害等級が1級・2級の場合は20歳になるまで | |
2 | 父母 | 生計維持者の死亡当時に55歳以上である(支給は60歳から) |
3 | 孫 | 18歳になってから初めて迎える3月末まで 障害等級が1級・2級の場合は20歳になるまで |
4 | 祖父母 | 生計維持者の死亡当時に55歳以上である(支給は60歳から) |
※貰う人の年収が850万円未満であるか年間所得金額が655万5000円未満
もらえる金額
計算がややこしいのでオリックス生命さんがわかりやすく図にしてくれているのでそちらを参考にしていただければと思います。
平均標準報酬月額 | 25万円 | 35万円 | 45万円 |
支給月額 | 3.3万円 | 4.6万円 | 6.0万円 |
注意
・保険料の滞納があると支給されない場合がある
・子のいない若い女性のもらえる期間は5年間
中高齢寡婦加算・経過的寡婦加算
遺族厚生年金をもらう人が妻で、ある一定の要件を満たす人に支給されます。
中高齢寡婦加算
下記の要件で適用されます
- 夫が死亡した時に妻の年齢が40歳以上65歳未満であり遺族基礎年金の支給対象となる子がいない場合
- 妻が40歳に達した時には遺族基礎年金の支給対象となる子がいたが、のちに支給対象から外れたために遺族基礎年金がもらえなくなった場合
もらえる金額
遺族基礎年金の4分の3に相当する585,100円/年
経過的寡婦加算
専業主婦の年金制度加入が任意とされていたことがあり、減少してしまう老齢基礎年金を補う目的
要件
- 中高齢寡婦加算を受けていた妻で1956年4月1日以前生まれの妻
- 1956年4月1日以前に生まれて65歳を超えてから遺族厚生年金をもらうようになった妻
もらえる金額
妻の生年月日によって異なる
生年月日が遅くなるにつれて減少
注意
・妻のみがもらえる
実際にシミュレーション
条件
会社員、平均標準報酬月額45万円、遺族は妻と子1人
支給額
子が18歳になってから迎える3月末まで
遺族厚生年金:720,000円/年
遺族基礎年金:1,004,600円/年
→1,724,600円/年
子が18歳になってから迎える4月以降+妻65歳未満
遺族厚生年金:720,000円+585,100円=1,305,100円/年
遺族基礎年金:0円/年
→1,305,100円/年
妻65歳以上
遺族厚生年金:720,000円/年
老齢基礎年金(満額):780,100円/年
→1,500,100円/年
支出額
総務省統計局が公開している全国消費実態調査によると
子1人の母子家庭の生活費は平均21万円/月(252万円/年)
子供が独り立ち後の生活費は平均15万円/月(180万円/年)
不足分
子が18歳になってから迎える3月末まで
収入:1,724,600円/年
支出:2,520,000円/年
不足分:795,400円/年(6.6万円/月)
子が18歳になってから迎える4月以降+妻65歳未満
収入:1,305,100円/年
支出:2,520,000円/年
不足分:1,214,900円/年(10.1万円/月)
子独り立ち+妻65歳未満
収入:1,305,100円/年
支出:1,800,000円/年
不足分:494,900円/年(4.1万円/月)
妻65歳以上
収入:1,500,100円/年
支出:1,800,000円/年
不足分:299,900円/年(2.5万円/月)
結果
大雑把な計算ではありますが、最も不足額が大きくなる場合
年間120万円(月額10万円)
ということがわかりました。
子供の教育費(およそ1人1000万円)についても考える必要があります。
妻が亡くなるまで(100歳と仮定)働かなくてもいいようにするのであれば
不足分4400万円+教育費1000万円
できる限り残してあげれる額を増やしてあげたいですがこれはちょっと厳しいですね…
子供が独り立ちするまでの2000万円と教育費の1000万円は貯めたいところです。
子供ができるまでに貯めれなければ掛け捨ての生命保険も検討の余地あり。