結論
- 2017年は平均で年間およそ420万円支給されていた
- 国は現役世代の収入の50%以上を目標にしている
- 2019年の財政検証で最悪な状況では現役世代の37%になる可能性も
年金について
昨今、年金についてあまりいいニュースを聞きません。
古くは2007年の消えた年金問題
最近では2019年の2000万円問題
- 自分が歳をとってからも問題なく生活ができるのか…
- 今のように年金をもらうことができるのか…
自分を含め不安になる方も多いと思います。
特に若い人からは
- 自分で資産形成をした方がいい
- 払わない方法はないのか
- 年金制度は破綻する
などというネガティブな声も聞こえます。
これらの声は真実なのでしょうか?
皆さんは年金についてどれだけ知っていますか?
今回は意外と知らない公的年金についてまとめたいと思います。
*遺族年金や障害年金については別記事を書こうと思います。
公的年金を知る意味
まず、国が用意する年金のこと公的年金といいます。
この公的年金を知ることによって自分が老後までにいくら資産形成すればいいのかがある程度わかってきます。
①公的年金で足りない金額はいくらなのか確認
②自分が生きるであろう残りの年数を確認
上記2点が確認できれば
「不足分」×「年数」=「老後までに資産形成する金額」
このように計算することができます。
もちろん、将来のインフレや自分の寿命など不明確な点は多いです。
多いですが
- 全く先の予想を立てず闇雲に突き進む
- 老後のことは全く考えず行き当たりばったり
- 国の言ってる2000万円を信じて準備する
上記のような対応ではなく
- 老後までにおよそいくら必要なのか
- 資産形成するために何にいくら投資すればいいか
- 投資する原資はどうするか
このような具体的な対応をするためにも公的年金を知ることは大事だと考えます。
公的年金の種類
では公的年金にはどのようなものがあるのかみていきたいと思います。
よく言われるのは
公的年金は2階建てになっている
という表現です。
1階部分:国民年金(基礎年金)
毎月一律:16,540円(令和2年度)(毎年見直し)(前納により割引可)
対象:20歳以上60歳未満の日本にいるすべての国民が加入
老齢・障害・死亡により基礎年金を受けることができる
第1号被保険者〜第3号被保険者の3種類に分類される
2階部分:厚生年金
「標準報酬月額」×「保険料率」=保険料
保険料率:平成29年以降18.3%で固定
労使折半のため実際に支払う額は
「標準報酬月額」× 18.3% ÷ 2 =保険料
対象:厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務するすべての人が加入
免除:産前産後休業・育児休業取得中(免除期間も納めたことになる)
加給年金:20年以上支払っている人が65歳になった時点で配偶者や子供がある条件下だと上乗せされる制度
2階部分:共済年金
平成27年9月まで公務員・私立学校職員などが加入していた年金
平成27年10月から厚生年金に統一
実際の支給額はいくら?
厚生労働省のホームページより過去の推移は下記の通りです。
老齢厚生年金の計算方法が2015年から変更になったため2015年から3年間をまとめました。
西暦 | 老齢基礎年金(月額) | 老齢基礎年金(年額) |
2015年 | 65,008円 | 780,096円 |
2016年 | 65,008円 | 780,096円 |
2017年 | 64,941円 | 779,292円 |
西暦 | 老齢厚生年金(月額) | 老齢厚生年金(年額) |
2015年 | 221,507円 | 2658,084円 |
2016年 | 221,504円 | 2658,048円 |
2017年 | 221,277円 | 2655,324円 |
お得な繰り下げ受給について
現在年金は原則65歳から受け取ることができますが、前後5年受け取り時期をずらすことが可能です。
ずらすことで下記のように受け取る金額が増減するので注意が必要です。
請求可能期間 | 請求単位 | 月当たり増減 | |
繰り上げ受給 | 60~64歳 | 1ヶ月 | ▲0.5% |
繰り下げ受給 | 66~70歳 | 1ヶ月 | 0.7% |
これをみてわかることは1年間受け取りを伸ばすことで受け取る額を8.4%増やすことができるということです。
銀行の金利が年間0.001%のこの時代にこの数値はとても大きいです。
最大42%増額した年金を死ぬまでもらえるメリットは大きいので、自分はそれを考慮した資産形成を考えたいと思います。
所得代替率について
2017年の平均支給額は基礎年金と厚生年金を足して夫婦でおよそ420万円。
毎年これぐらいもらえれば普通の生活であれば困らないかと思われます。
しかしここで政府が宣言している
「所得代替率50%以上維持」
について考える必要があります。
所得代替率:現役世代の収入に対して何%年金がもらえるか
2019年に行われた財政検証では61.7%でした。
そして今後の経済成長によって6つのパターンを想定して計算したところ
37.0%~51.9%
想定ケース 1~3:経済が順調に成長 4~6:経済が不調 | 所得代替率 |
ケース1 | 51.9% |
ケース2 | 51.6% |
ケース3 | 50.8% |
ケース4 | 46.5% |
ケース5 | 44.5% |
ケース6 | 37.0% |
となりました。
つまり最悪な状況を考えると現役世代の37%が年金による収入になります。
まとめ
公的年金は老後の収入における柱の一つです。
将来のことは不確実ですが、最悪の状況を考えて行動することが大事だと思います。
- 所得代替率が37%の場合、生活していくにはあといくら必要になるのか
- 繰り下げ受給をするのか
- 繰り下げ受給をするのであれば貰えない期間の収入はどうするのか
- それでも足りない額を貯めるためにはどうしたらいいのか
今回の記事で皆さんが考える一助になればと思います。